・ ページ14
#
え？と私が疑問を浮かべているうちに。
沈黙は肯定だと受け取られたのか、鬱くんたちはお弁当を持ってこちらへとやってきた。
行動が早すぎる。
近くの机を寄せて、広くなったスペースで四人が一緒に弁当を食う。なおうち二人ほぼ初対面である。マジ？
「Aちゃんやんな？知っとるで」
「あー、風紀委員の？」
「そうですね」
「そっちの子はリナちゃんやんな？同じ風紀委員さん」
「はい！Aと同じ委員会なんです」
めちゃくちゃ情報漏洩済だった。クソワロタ案件である。
とりあえず私はなるべく話しかけられまいとお弁当の中身をどんどん口に詰め込む。せっかく丹精込めて作った煮物の味がほぼ分からなくなった。
ぐぬぬ。まさかこんなイレギュラーが発生するとは思いもしなかった。
「可愛ええ子やな〜って気になっとってん。俺は鬱言います、よろしゅうな」
「俺のことはシャオロンって呼んでや」
「あ、はい」
そんな急に軽々しくあだ名で呼べると思っているのか。
早いんだよなぁ行動が。
「Aちゃん、食べるの好きなんやねぇ」
「あ、はい、そうですね」
お前らに話しかけられたくないだけだよ！！と、内心大きな声で叫ぶ。なんでこう、ほぼ初対面の人とご飯を共にしているのか。勘弁してくれ。
「……というか鬱さん、」
「鬱でええよ」
「学ラン、前閉めてください」
「あ〜、ごめんなぁ。こうせな苦しいねん」
……まぁ、いいか。今は風紀委員もお休みだ。
:
:
「そんでな、こいつめっっちゃプレイボーイやねん。クソ野郎やねん」
「クソ野郎って！」
「シャオちゃん酷いぃ……」
結果。三人だけが仲良くなり、私はその輪に溶け込めなかった。
……別にいいもんね。リナを取られなければ別に。
というかシャオロンさん、シャオちゃんって呼ばれてるんだ。
思ったよりあだ名が可愛らしい。
「Aちゃん」
「ん？なんですか」
「敬語やなくてええよ？」
「……はあ」
慣れていったら外します、と言ってお弁当の蓋を閉じてバッグに入れる。お茶を一口飲んで、鬱さんの目線に気付く。
にこにこしていて、にやにやしている、そんな目線。
「やっといっぱいお話できるな」
お弁当食い終わったやろ、と。
………………あ。
そうか。一回でめちゃくちゃ食べたから食い終わるのは早いし、その余った時間で会話することになる。
考えが足りなかったなあ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 96人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミントティー(プロフ) - 灯さん» コメントありがとうございます……！まさかご感想いただけると思わず踊り狂って喜んでいます。読みやすかったと言っていただけると嬉しいです……！これからも元気に更新してまいります！ (5月12日 20時) (
レス) id: d7507200e4 (このIDを非表示/違反報告)
灯(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。どの作品も一つひとつが面白くて、尚且つ読みやすかったです！素敵な作品をありがとうございます！朝夕寒い時期ですのでお身体にお気をつけて、ご健勝をお祈り申し上げます。 (5月11日 13時) (レス) id: 3e566e3157 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミントティー | 作成日時：2023年12月28日 21時
