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ある日。私は、はじめてエーミールさんの家にお邪魔することになった。
エーミールさんが「そろそろ私の家も来てみますか？」と言ったのを皮切りに、あれよあれよという間に会う予定が決まった。
確かによくよく考えてみれば、普段会う時は私の家か、外出かだった。
はじめてお邪魔する、ということで、出来うる限り一番のお洒落して、エーミールさんの好きなお茶菓子も大切に袋に入れて持っていく。
鏡の前で何度も身なりを整えて、私は家を出る。
エーミールさんがメッセージで送ってくれた地図を見つつ、しばらく歩き続けていると、綺麗な一軒家があった。
事前に教えてもらった外装と同じ。
チャイムを鳴らす。はーい、と聞こえてきて、少しの間を置いてからガチャッとドアが開いた。
「こんにちは。待ってましたよ」
「こんにちは、エーミールさん。お邪魔しますね」
「んふふっ、邪魔するなら帰ってぇ〜」
「は〜いっ」
二人で笑い合いながら、私はエーミールさんの家の玄関に一歩踏み出す。しっかり掃除されて、傷のひとつも見えない白い板材の床がオシャレだ。
さすがエーミールさん。
ご友人から聞いてはいたけど、オシャレな方なんだなあ。
「あ、トイレはここです。手洗い場は右手側に……」
案内を受けていると、エーミールさんがふと立ち止まって、とある一つの扉を指差した。
「基本的には出入りは自由にしてくれて構いませんが、ここだけはだめですよ」
「……？はい……」
「寝室なんですよ。ちょっと、脱いだ服とか置いてしまっとるから……」
「ふふっ、エーミールさんでもそういうことするんですね。新鮮です」
そう笑うと、エーミールさんは気まずそうに頬をかく。そんな仕草も様になっていて、つい心が早鐘を打った。
「今紅茶淹れますね。好きなところに座っててください」
「ありがとうございます」
優しいダージリンの香りが鼻をくすぐる。
角砂糖をひとつ、ぽちゃんと沈めた音がして、エーミールさんはソーサーとティーカップを目の前に持ってきてくれた。
クッキーの盛られたお皿も、同時に目の前にやってくる。
「角砂糖、おひとつでしたよね？」
「はい」
「やったらよかった。はい、どうぞ」
ダージリンに口をつけて、そっと啜る。
差し出されたクッキーを頬張る。私の好きな、バタークッキーだった。
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ミントティー(プロフ) - 灯さん» コメントありがとうございます……！まさかご感想いただけると思わず踊り狂って喜んでいます。読みやすかったと言っていただけると嬉しいです……！これからも元気に更新してまいります！ (5月12日 20時) (
レス) id: d7507200e4 (このIDを非表示/違反報告)
灯(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。どの作品も一つひとつが面白くて、尚且つ読みやすかったです！素敵な作品をありがとうございます！朝夕寒い時期ですのでお身体にお気をつけて、ご健勝をお祈り申し上げます。 (5月11日 13時) (レス) id: 3e566e3157 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミントティー | 作成日時：2023年12月28日 21時
