きっとこれは幸せな噺*/ht ページ22
酷い暴力表現等あり
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昔から、人にとって私は気に食わない生き物だったらしい。
父親にも、父親が連れてきた女の人には殴られたし、クラスメイトには変なあだ名をつけられていた記憶がある。
自分に問題があったのかどうかはわからない。
ただ、周りの環境は酷かった気がする。
唯一。幼馴染だけが私によくしてくれていて。
隠された上靴を探してくれたり、殴られた箇所の治療をしてくれていた。
でも、それだけ。大量の不幸には、幼馴染という存在ではかき消すことが出来なかった。
物心ついた時から、いや、つくまえから、母親はいなかった。
私を産んだ時に亡くなったとか聞いた、気がする。酒を飲んで、珍しく機嫌のいい父親は言っていた。軟弱者だと、怒っていたような気がしなくもない。全てが曖昧。
そんなことを言う父親に、そして最低な人間に囲まれていた。
だから、人間なんて嫌いだった。消えてしまえとか、そんなことを夜な夜な思って眠りについていた。
でも、だからといって、本当に消えてなんて欲しくなかった。
「……え？」
コンビニで半額弁当を、いつも通り二人分、学校帰りに買って、いつも通りの道を歩いていつも通り帰った日の事だった。
リビングに繋がるドア。その隙間から、赤い液体が流れ込み、廊下を赤く汚していた。
鉄の香りが鼻をついて、ぐっと鼻を摘む。大きく咳き込んで、おそるおそる足を踏み入れる。得体がしれなくて、靴のまま。
ぴちょ、と音がして、それが液体、血だということが容易にわかった。
学校指定のローファー。靴底が赤黒く染まっているのを想像して、掃除が面倒になるなと、ひどく冷静な頭で考えた。
そのまま、奥を進んでいく。
リビングに繋がるドアを開くと、ぐわっ、と、鉄のような香りの空気が迫ってくる。コンビニ袋を落とすと、床の液体が飛沫となって薄く飛び散った。白い壁が赤く汚される。
「……おとう、さん」
ビール缶が、机の上から落ちる。ごろんと重たい音がして、中身の液体がどぼどぼ零れた。
ソファで女の人が寝ている。ナイフが突き刺さっていた。何度も突き刺したのだろうか。
何よりも。
キッチンのシンクで手を洗っている、クラスメイトで幼馴染のひとらんらん。
それが強く目に焼き付いた。白い学ランは、背中の所に赤い手形がついていた。お父さんか、あの女の人と揉み合ったりでもしたのだろう、と推察できた。
酷く冷静だ。自分が嫌になる。
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ミントティー(プロフ) - 灯さん» コメントありがとうございます……！まさかご感想いただけると思わず踊り狂って喜んでいます。読みやすかったと言っていただけると嬉しいです……！これからも元気に更新してまいります！ (5月12日 20時) (
レス) id: d7507200e4 (このIDを非表示/違反報告)
灯(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。どの作品も一つひとつが面白くて、尚且つ読みやすかったです！素敵な作品をありがとうございます！朝夕寒い時期ですのでお身体にお気をつけて、ご健勝をお祈り申し上げます。 (5月11日 13時) (レス) id: 3e566e3157 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミントティー | 作成日時：2023年12月28日 21時
