三寒四温/ht ページ27
ちょっと早いけどお花見の話
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三寒四温極まりない今年、暖かい日がようやくやってきたのを察知した私達は、大急ぎで公園へと駆け出したのである。
ひとらんと交際を続けて約三年。お互いの仕事が忙しいこともあり、のんびりとしたデートの回数は他のカップルよりもとにかく少なく、するとしても日帰りお家デートが九割。二人でショッピング、なんてのは本当に稀。
そんな私達も、ようやく休みをもぎ取った。三連休、今まで消化しきれなかった有給休暇をふんだんに使って。
せっかくの春だ。麗らかな春の陽気の下、お花見なんてどうだろう、と話し合っていたのだが、その三連休に暖かい日が全く見当たらないまま、二日の休みを消化してしまっていた。
「どうする？ひとらん」
「どーしたもこーしたもないよ……明日で終わりじゃん」
「ねー」
二人でベッドに入り、ほぼ放心状態で天井をじっと眺める。
「……楽しいには楽しいけど……」
「花見、したかったね……」
「いやまだ明日希望あるじゃん」
「ある？」
「……あるよ」
ひとらんが自信なさげに答えてから、もぞもぞと毛布の中に潜り込む。それを見て、私もようやく寝る気になって、明日の陽気に期待をしながら静かに瞼を下ろす。
──明日の気温は、三寒四温の「三寒」ラスト部分という予報があったのは忘れておきたい。夢も希望もないじゃないか。
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「A！A、A！」
シャッと音がした後、私の身体がぐわんぐわんと揺らされ、大きな声で名前を呼ばれる。
なに、と、掠れた声を出しながら、ぼやぼやとした視界を擦る。
「外、めっちゃ暖かいよ！」
「ンなにィ！？」
こうしちゃ居られねえ、と叫んで私は思わずベッドから転げ落ちる。それにも構わず、私とひとらんは大急ぎでベランダに向かう。
日差しは暖かい。雲ひとつ無い快晴。壁に吊るされた温度計も、十分に暖かな温度を表示している。
そこからの行動はもう、早い早い。
大急ぎでメイクをして、春っぽい服をクローゼットから引っ張り出す。ひとらんもそれは同じで、クローゼットの中をガチャガチャ漁っていた。
着替え終わったらすぐに車を出して、コンビニに寄ってお菓子やジュースを調達。そのまま近くの公園まで、法定速度を守りながら車を飛ばした。
「春ーー！」
「春だね！」
「良かったねひとらん！」
「良かったね、よし、いいスポット取りに行こうか」
昼食片手に、私たちは公園のお花見スポットへと足を進めた。
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ミントティー(プロフ) - 灯さん» コメントありがとうございます……！まさかご感想いただけると思わず踊り狂って喜んでいます。読みやすかったと言っていただけると嬉しいです……！これからも元気に更新してまいります！ (5月12日 20時) (
レス) id: d7507200e4 (このIDを非表示/違反報告)
灯(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。どの作品も一つひとつが面白くて、尚且つ読みやすかったです！素敵な作品をありがとうございます！朝夕寒い時期ですのでお身体にお気をつけて、ご健勝をお祈り申し上げます。 (5月11日 13時) (レス) id: 3e566e3157 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミントティー | 作成日時：2023年12月28日 21時
