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辿り着いたのは、桜が綺麗に咲き誇っている大樹の下。
思ったより人は少なかった。やっぱり今日を目当てに準備していた人は少なかったんだなあ。そもそも平日だもんね。
小ぢんまりとしたシートを広げ、差し込む木漏れ日を眺めながら桜の花びらを拾い上げる。
ツヤツヤとした薄桃色のそれは、絶えず空を舞っていた。
「綺麗だね」
「うん、綺麗」
「良かった、本当に……Aとのお花見楽しみに仕事頑張ってたから」
「別に、こんなの沢山行けるでしょ」
ひとらんは気にしすぎだなあ、と言いながら麦茶のペットボトルの蓋を捻る。結露で濡れたそれは、しっかり冷えていて美味しかった。
「A、今の」
「……いまの？」
「今のさ、これからもずっと一緒って解釈でいい？ってか、それ以外嫌だけど」
今の。……あぁ、「こんなの沢山行けるでしょ」って発言か。
たしかに。無自覚とはいえ、これからもずっと一緒、いう意味を無自覚に込めていた可能性。
……めっちゃ恥ずかしいな。なんで？
「お好きにとらえてよ」
「じゃあ俺の都合のいいほうでとらえるね」
「うん……」
自分がいたたまれなくなって、ちびちびと麦茶に口をつける。
春の陽気は、なんだか頭をバカにさせてしまう。
まあ、別に、バカになったって構わないんだろうけど。
「もしかしてさ、すっげぇ幸せじゃない？俺」
「私も幸せだよ？ひとらん」
「も〜〜〜〜そういうこと言っちゃう！」
そういうとこが好きなんだって、ともだもだしているひとらんを他所目に、レジ袋から三色団子を取り出す。三本入りのうちの一本を取り、もう一つをひとらんに差し出した。
「花より団子」
「典型例じゃん」
「ひとらんは？」
「花より団子よりA」
「ばかになっちゃってる、春で。大丈夫？」
美味しいであろう団子の味は、熱くなった顔と昂った感情のせいであまり感じられなくて。
もしかすると私もバカになっちゃってるかもしれない。
「来年も来る？」
「くるよ、いくよ」
「そっか……」
「Aはいや？」
「んーや、嬉しい」
来年は、もう少しゆっくりとスケジュールを組める事を。
そして三寒四温と言われる春の気候が、今回みたいに最悪な噛み合いを見せないことを願って、私はふあぁと欠伸をした。
春はまだ、これから。
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htとお花見、したかった
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ミントティー(プロフ) - 灯さん» コメントありがとうございます……！まさかご感想いただけると思わず踊り狂って喜んでいます。読みやすかったと言っていただけると嬉しいです……！これからも元気に更新してまいります！ (5月12日 20時) (
レス) id: d7507200e4 (このIDを非表示/違反報告)
灯(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。どの作品も一つひとつが面白くて、尚且つ読みやすかったです！素敵な作品をありがとうございます！朝夕寒い時期ですのでお身体にお気をつけて、ご健勝をお祈り申し上げます。 (5月11日 13時) (レス) id: 3e566e3157 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミントティー | 作成日時：2023年12月28日 21時
