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「……海、きれい」
海沿いの道を走っている途中に、ついぽつりと零す。
それを聞き逃さなかったコネシマは、バイクを走らせつつ、行ってみるかと提案してきた。声を少し大きくして「……行ってみる」と返せば、コネシマはバイクのスピードを落とし、海近くの適当な場所に停車させた。
少しだけ歩くと、夜の色に染まった砂浜が広がっている。
波は寄せては返して、月の光を反射して白く輝いている。
「……綺麗やな」
「うん」
陸からの風で足が冷える。
しかしそれに構わず、私は靴と靴下を脱いで海の方に歩を進めた。足裏の砂を落とすように、冷たい水に足をつけた。
「つめたっ」
「何しとんねん」
「……えへ」
コネシマが呆れたように私を見る。金色の髪は、水面のようにきらきら光っていた。
「心中ってさ、色々あるよね」
「ん"ッ……そ、やな」
「掘り返されると思ってなかった？」
「おん」
「……太宰治ってさ、入水をメインに心中してたらしいよ、確か」
「あー……」
それがなんや、とコネシマが聞き返してくる。
「しないの」
「……え？」
「しないの？」
「ぇ、いや、せえへん、けど……」
そっか、と呟いて、私は「戻ろうか」とコネシマに声をかける。
その直後、コネシマに強く抱き締められる感覚がした。
コネシマは私より背が高い。なんだか喉を締められるような気分になって、ぅぐっと唸った。
「……どうした、の」
「……しようや、もう」
しよう、って、何を。
分かっていながら、私はコネシマに聞き返した。
「心中、してみようや」
「……いいの？」
「姉貴がええんやったら俺はええよ、なあ、どうするん」
「してみる？太宰治みたいになんないといいけどさ」
私はもうどうでもいいし、そう付け足すと。
コネシマは、分かった、と言って。私の手をグイグイ引いて、海の方に向かっていく。深いところに進んでいって、腰まで水に浸かったところで。
「死んでも離さへんわ」
「そう、絶対ね」
私の手を、強く握ったまま。コネシマは背中から海に沈み込んだ。勿論私も、ゆっくりと海に沈み込む。ジャージが完全に水を含んで重くなる感覚がした。
───コネシマは私の体を抱き締める。死んでも離さない、そんな言葉通りに。
ゆりかごから墓場まで。
そんな言葉が、脳裏に浮かんで、すぐに夜の海に溶けていった。
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うーん、謎！
しかし書きたいのはかけたので良いです
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ミントティー(プロフ) - 灯さん» コメントありがとうございます……！まさかご感想いただけると思わず踊り狂って喜んでいます。読みやすかったと言っていただけると嬉しいです……！これからも元気に更新してまいります！ (5月12日 20時) (
レス) id: d7507200e4 (このIDを非表示/違反報告)
灯(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。どの作品も一つひとつが面白くて、尚且つ読みやすかったです！素敵な作品をありがとうございます！朝夕寒い時期ですのでお身体にお気をつけて、ご健勝をお祈り申し上げます。 (5月11日 13時) (レス) id: 3e566e3157 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミントティー | 作成日時：2023年12月28日 21時
