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三日目
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「綺麗だね」
Aがコーラを奢ってくれたあの日から二日経った。
今彼女は、光を乱反射する波打ち際を眺めてそう呟く。時折波の近くに行っては、戻ってくる波に悲鳴を上げてこちらへと戻ってきた。
今日の服装はまたワンピース。前回と違うのは、腰に薄い水色のリボンが巻かれていて、裾部分に刺繍がされていること。
彼女の言葉に、適当にせやなと返す。
立ち上がる気力さえなかった。
途中で安いホテルに泊まって、眠りについたり。
錆びきったもう使われない線路の上を歩いたり、走ったり、かと思えば虫を眺めて立ち止まったり。
体力が限界に等しかった。それに比べて、Aは元気で羨ましい。
なんでやろうな、体力は俺の方があるはずやのに。
「次、どこいく？」
次があんの。
ボソリとそう呟いてから、彼女には「休憩したいわ」と告げる。
すると彼女はマップアプリを開いて、近くの古民家カフェを俺のLINEへ共有する。
ええやん、と、絵文字付きのメッセージで返して、俺は立ち上がる。
彼女は靴に入り込んだ砂を捨てていて、小走りで俺の方へと駆け寄ってくる。
あの人同じようにまた俺の手を引いて、彼女はスマホの画面に目線を落とした。
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「美味しいね」
「せやな」
Aは俺の目の前でボルシチセットを食べている。
こんなクソ暑い夏にようあっつい汁もん食えるな、と思ったけれど、彼女は春夏秋冬問わず熱いものが好きだと言っていた。
そんなことを思い出しながら、俺は自家製冷やし中華と銘打たれたそれを口に放り込む。具材のトマトは、彼女が欲しがっていたので分けてあげた。
しばらくして、パンッと手を合わせ「ごちそうさまでした」と言った彼女は、お冷を一気飲みする。
そういやあったわ。俺もプラスチックのコップを持ち、とうにぬるくなってしまったお冷をひとくち飲む。
結露のない、ぬるい水の入ったコップはじっとりと俺の手に吸い付いていた。
嗚呼、これやから夏は嫌いなんや。
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ボルシチと冷やし中華
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ミントティー(プロフ) - 灯さん» コメントありがとうございます……！まさかご感想いただけると思わず踊り狂って喜んでいます。読みやすかったと言っていただけると嬉しいです……！これからも元気に更新してまいります！ (5月12日 20時) (
レス) id: d7507200e4 (このIDを非表示/違反報告)
灯(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。どの作品も一つひとつが面白くて、尚且つ読みやすかったです！素敵な作品をありがとうございます！朝夕寒い時期ですのでお身体にお気をつけて、ご健勝をお祈り申し上げます。 (5月11日 13時) (レス) id: 3e566e3157 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミントティー | 作成日時：2023年12月28日 21時
