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五日目
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「あと二日だね」
今は五日目。その彼女の発言から、七日間、すなわち一週間の旅と区切りが付けられていたことがわかった。
むしろ俺はそれさえ知らずに彼女の誘いに乗ったんやな。と思うと、あの日の約束を了承してしまった俺をブン殴りたくなる。
俺の頭は、随分と暑さにやられているらしかった。
今のAの服装は、初日とは打って変わってズボンスタイル。
ジーパンに、半袖のTシャツを着ている。そんな涼し気な服装で、ズボンの裾を捲って川に足を突っ込んでいた。
時折水を飛ばしてくるので、お返しと言わんばかりに水面の水を手で掬って掛けれてみれば、わぁっと悲鳴を上げてやり返してくる。
そのうちヒートアップして、全身びしょ濡れのまま、俺たちは気温の下がった夕暮れの道を歩く。
お互いにくしゃみをして、もう二度とせえへんわと呟くと、彼女はボソッと同意、と呟いた。
「この旅も終盤やな」
「そうだね。ロボロはどう？楽しい？」
「まあそれなりに楽しいで。非行少年感があるわ」
「非行少年って」
楽しげに笑う彼女からは、何も感じ取れない。
この旅の目的は、逃げる、と彼女は言っていた。
でも、何から逃げとるのか、と聞いても、彼女は曖昧に笑ってぼかすだけで。きっと俺は、彼女が何から逃げているのかを知らずにこの旅を終えるんやろうと思う。
そんな確信が心に突き刺さったまま。
俺は彼女の背についていく。
時折振り向く彼女は、どこか寂しげで、でも何も感じていないような顔で。
俺は、君のことを何も知らないまま。
この七日間の旅を終えてしまうんやろうと、どこか苦しくなってしまった。
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何も知らない
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ミントティー(プロフ) - 灯さん» コメントありがとうございます……！まさかご感想いただけると思わず踊り狂って喜んでいます。読みやすかったと言っていただけると嬉しいです……！これからも元気に更新してまいります！ (5月12日 20時) (
レス) id: d7507200e4 (このIDを非表示/違反報告)
灯(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。どの作品も一つひとつが面白くて、尚且つ読みやすかったです！素敵な作品をありがとうございます！朝夕寒い時期ですのでお身体にお気をつけて、ご健勝をお祈り申し上げます。 (5月11日 13時) (レス) id: 3e566e3157 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミントティー | 作成日時：2023年12月28日 21時
