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六日目
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「明日、帰らなきゃだね」
明日で、七日目。この長いようで短い旅にも、終わりが近づいてきている。
俺たちはもう、最初に着いた駅までの道を戻っている。今は、その道中にあった小ぢんまりとした公園で休憩しているところ。
ジャングルジムの一番上に座ったAは、足をぶらぶらとさせながら、斑に白の浮かぶ空を眺めていた。
奥の方は少し黒ずんでいて、雨が降るかもなぁ、と憂鬱な気持ちになる。
───Aも、寂しいんか。
どうしても言えないこの言葉が喉につかえている。
A"も"。彼女が頷いてしまえば、俺も寂しいことを認めなあかんくなる。何も教えてくれなかった彼女にそれを教えるのはどこか癪で、絶対に言わなかった。
俺はただ、彼女の一つ下の段に座って、川で冷やしてきたペットボトルの水を飲むことしか出来ない。
口に含んだ時にはすっかりぬるくなってしまっていた。
「寂しい？」
あんさんは意地悪やな、なんて。そんなことも言えなかった。
寂しい、そう言えへん俺から、その言葉を引き出そうとしている。
どうやろうか、とだけ曖昧な返事を返しておいた。何も教えてくれへん君に、俺のことを教えたくはない。
それを察したのか、彼女はジャングルジムからぴょいっと飛び降りて、ブランコへと向かう。
昔っぽい、古びた木の板を、錆びた鉄の鎖が繋いでいる。
それを掴んで、「押してー」と声をかけてきた。
傲慢やな、そう思いながらも俺は彼女の背を押しに行く。
今日のAの服は、白い服にベージュのジャンパースカートと、シンプルめな服装をしていた。
「行くでー」
「はーい！」
彼女のその背を強く押して、押して、押して。
こんまま何処までも飛んでいって、何処までも逃げてしまえばええ。そんな願いを込めて、Aの背中を押す。
「高いよロボロー！」
そんまま、飛んでけ。
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翼がなきゃ飛べない
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ミントティー(プロフ) - 灯さん» コメントありがとうございます……！まさかご感想いただけると思わず踊り狂って喜んでいます。読みやすかったと言っていただけると嬉しいです……！これからも元気に更新してまいります！ (5月12日 20時) (
レス) id: d7507200e4 (このIDを非表示/違反報告)
灯(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。どの作品も一つひとつが面白くて、尚且つ読みやすかったです！素敵な作品をありがとうございます！朝夕寒い時期ですのでお身体にお気をつけて、ご健勝をお祈り申し上げます。 (5月11日 13時) (レス) id: 3e566e3157 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミントティー | 作成日時：2023年12月28日 21時
