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ここは軍。そして 私達という軍人の立場の者共は、いつ、どこで死ぬか分からない状況や。
そんな中、色恋沙汰にうつつを抜かしている暇は無い。命を懸けて戦い抜かねば、サボったもんに待っているのは死だけ。
あの日、シッマの声を聞いた時、自分の中の全部の糸がちぎれた気がした。冷たいベッドに潜り込んで、全部を忘れることにした。
何も無かった。私とシッマには、元よりなんにも無かった！
ただの同期、ただのメンバー、ただの知り合い。それでよかった。軍には感情なんて必要ない。油断したら死ぬ。何もない。
「…A、お前シッマと何かあったんか」
『おお大先生。何もないで？ いつも通りや！ いつも通り！』
ベランダにて。たばこを咥えた大先生に話しかけられた。私の様子を見ておかしいと思ったのか、そう言われて。
咄嗟に取り繕った。
ここは軍。ここは軍。油断したら死ぬ。必死でいつもの調子を纏った。
「嘘つけお前。目が死んどんぞ」
『…感のいいガキは嫌いやで』
でも、大先生にはバレバレやったらしい。指摘をされて、笑顔を落とした。私もたばこを咥える。いつもより苦い。
『…ふぅ〜… 何かあったんは事実やけど、気にせんで。今慰められても困るんよ』
そう。とても困る。感情が剥き出しになって、理性が働かなくなって、▲▲への嫉妬で狂って、私が死ぬ。それは嫌や。私は私のまま死にたい。
「…はいはい、全く 手間のかかる子達やな、お前らは」
大先生は察したのか、さっと私の方から顔を背けて 煙を吐き出した。
大先生は察しがいい。こういうときはすごく助かるんや。無駄に話さなくて済むから、感情を揺らさずに済む。
互いの違うたばこの匂いがした。きっとゾムは嫌がんな。ちゃんと消臭せんとあかんな。
…途端、なぜか 涙が目に溜まって、溢れだした。私を一瞥した大先生がギョッとしている。
ああ、せやった。前もこうして、シッマとたばこ吸ってたんやったわ。その時も、違うたばこの匂いがして、消臭せんとなって思って、それで、それで…
『…もう、もう嫌やァ……』
「ちょっ、ちょちょちょ！？ Aサンここで泣いたら俺がぶっ殺されるんですけど！？！？」
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作者名：さき。 | 作成日時：2023年7月13日 14時
