Aぇの紅一点神出鬼没のお姫さまⅡ (ページ13)

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グレショーラブロマンス(公演①) ページ13

※この物語のシリーズⅠの時に書かせていただいたグレショーラブロマンス(稽古)の続きになります。前のものを読んでいないなくても大丈夫ではないかと思いますが、読んでいたほうがわかりやすいかもです。

【配役】
・正門、姫城(想いあっても結ばれない二人)
・小島(姫城を好いている)
・末澤、リチャード(想いあっていないが結ばれる二人)
・佐野(末澤に想いを寄せている)

姫城モノローグ『まるで操り人形のように生きていた私に、初めて生きていると思わせてくれたのがあなたでした』

舞台の端に座り込み遠くを見つめる姫城。
舞台の逆側から出てきた正門が姫城を見つけて歩み寄る。

正門「……だいじょうぶですか？」

姫城『……(正門へとゆっくり視線をうつす)』

正門、姫城の美しさに息をのむ。

正門「具合でも悪いですか？」

姫城『(小さく首を振る)』

正門「こんなところで寒くありませんか？」

姫城『……あなた、私が何者か知らないの？』

正門「すみません。僕は、今日のパーティーへは父に連れてこられただけで…社交界で有名な方のこともわかっていなくて…失礼しました…」

姫城『(少しだけ笑う)そうじゃない。私なんかに謝らくていいですよ』

正門「あの、あなたは、」

姫城『私はただのお人形です。さようなら、片時の王子様』

姫城、小さく微笑んで舞台からはけていく。
正門は姫城の後ろ姿を最後まで見つめ続ける。

暗転、シーン転換。
小島「ユキネ」と何度も名前を呼ぶ。
姫城登場。

小島「どこに行っていたんだよ！」

姫城『……』

小島「心配したんだ。俺の傍から離れないでくれ」

姫城『……』

小島、姫城を抱きしめる。
姫城は抱きしめ返すことはせずされるがままに小島の腕の中で虚空を見つめる。

姫城モノローグ『彼、健が私、りりを自分のもとに置くようになったのは、私が１０歳になるより前のことでした。彼は最愛の妹を事故で亡くし失意の中いたそうです。そんな彼を見かねた周囲によって妹の死はなかったこととされ、私はユキネとして生きていくことを強要されました。幼かった私は急に貴族の屋敷に連れてこられ何日も泣いていたそうです。何度も健に叩かれながら、帰りたいと泣きわめきました。諦めがついたのは数年後、自分が両親によって売られたと知った時です。それからというもの、私は健の機嫌を損ねず痛い想いをしないように彼のための操り人形として生きているのです。何年も、何年も』