Aぇの紅一点神出鬼没のお姫さまⅡ (ページ15)

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もしもし、元気ですか - nakajima ページ15

( you side )

【元気？】というメッセージが届いたことに正直驚いた。
彼とは仲間とか友人と呼べる関係に戻ったものの、個別にやりとりをすることはあまりない。
番組で会うとか、ウェブ上で絡むこと、風磨くん経由で話しを聞くことはあったけれど。

【元気だよ】
【健人くんは？】

一瞬、私は彼、中島健人をなんて呼んでいただろうかと悩んでしまった。

中島【俺も元気】

【良かった】
【卒業おめでとうって言っていいのかな】
【おめでとう】

中島【いいんじゃないかな。ありがとう】

健人くんがグループを抜ける決断をした、と聞いたのは公式から世間に発表がされる数日だけ前。
風磨くんの口から伝えられたものだった。
電話ごしで「中島、グループ抜けんだ」とぽつりと呟かれた言葉は私に伝えているというよりも、風磨くん自身に言い聞かされているものだったみたいだった。
ファンの人が不安にならないように、グループに残る弟達が不安にならないように、彼は気丈に振る舞うのだろう。
だけど、きっと彼の中にも強くある相棒がいなくなる感覚を共有した気がして泣きそうになった。
だけどもう、風磨くんの中でもしっかり話し合ってかみ砕かれているんだとも思う。それでも少しは寂しいのであろう、ということも。

『寂しいね』

菊池「やっぱ、りりうちに来ない？」

『行かないですよ笑』

菊池「だよなあー」

あの日の風磨くんの雰囲気と、今の健人くんの雰囲気が重なった。
なんとなくだけど。

中島【りりもデビューおめでとう。直接言えてなかったから】

【ありがとう。これから頑張ります】

中島【それから、彼とも幸せに】

【うん。健人くんも幸せでいてね】

中島【りりがそれ言う？笑】
【でも、ありがとう】

少年っぽく笑う健人くんの笑顔が思い出されて、気持ちがぼんやりした。

無性に声が聞きたくて、正門とのトーク画面を開く。