グレショーラブロマンス(公演��) ページ26
ついに正門と密会をしていることが小島にバレてしまう姫城。
小島からどうにか逃げ、正門と手を取り合うと屋敷の外に逃げ出す。
一度舞台上から捌けたあと、
再び袖から走って出てくる正門と姫城。
二人の手はしっかりと繋がれている。
正門「……っ、はっ」
姫城『……っっ』
正門「りり、大丈夫……？」
姫城『(息を切らしながら)だ、だいじょうぶ。ビックリしているだけ、』
正門「びっくり？」
姫城『もうとっくに諦めたと思っていた、から。まさか逃げ出す気持ちがまだ私にあったことにびっくりして』
正門「りり」
正門、姫城と繋いでいるのと逆の手も繋ぐと向き合って姫城のことを見つめる。
姫城、正門のことを見つめ返す。
正門「ここから一緒に逃げてしまおう。きっと君と一緒にいる道を切り開いて見せるから」
姫城、目に涙を浮かべる。
姫城『ありがとう。でも、それはできない。夢を見せてくれてありがとう。私のたった一人の王子様』
正門「僕ではあなたの役に立つには力不足ですか！」
姫城『そうではないの。きっと彼……、兄はユキネという存在の私を手放すことはできない。全ての力を使って探しだしてくるはずです。そうなった時、私は叩かれて鎖にでも繋がれれば許されるかもしれないけれど、殺されるのはきっとあなたです』
正門「それでも構わない。君が自由になれる可能性があるならば僕の命くらい捧げます」
正門、姫城の手を一層強く握る。
姫城『私が嫌なの。どうか私の唯一の希望、あなたには生きていてほしい。あなたが生きていてくれるというだけで、きっと私は生きたことを後悔せずにすみます』
正門「でも！」
姫城『どうかお願い。これがちっぽけな私のたった一つの願いです。最後にこうしてあなたと手を取り合えただけで、あなたが生きてくれるというだけで充分私は幸福になれる』
正門の目から涙がこぼれる。
彼女の決意を前に自分にできることがないのだと悟った。
繋いでいた手を離すと、正門は姫城の背に腕を回し優しく抱きしめる。
正門「……」
姫城『最後に、名前を呼んでくださいませんか』
正門「りり」
姫城『……』
ゆっくりと身体を離すと見つめ合う二人。
どちらともなく瞼を伏せて、何かを確かめ合うかのように短い口づけを交わす。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 381人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：くー | 作成日時：2024年3月28日 11時
