Aぇの紅一点神出鬼没のお姫さまⅡ (ページ9)

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２回目の - masakado ページ9

( you side )

何年一緒にいたと思っているのだろうか。
お互いの家に行ったこともあるし、なんならお互い家族とだって数回顔を合わせたことがある。
一人暮らしの私の家に正門がいるのだって初めてのことじゃない。
じゃないはずなのに。
私はそわそわと自分の部屋で視線を泳がせていた。

『……』

今までどうしてたっけ？
緊張したことはこれまでもあるけど、その比にならない。
どうやって正門と話していたのかが思い出せない。

落ち着きなくソファに座っている私のところに来た正門がマグカップを差し出してきた。

正門「緊張うつりそうや」

『何それ、』

カップを受け取ると湯気と甘い香りを感じる。
私の家だというのに物の場所を熟知している正門が入れてくれたものだ。
正門は自分の分のカップをローテーブルの上に置くと、私のカップを手から奪っていく。

『どうしたの』

言葉を言い終わるよりも前に、隣に腰掛けた正門にふわりと抱きしめられて彼の体温を感じた。

正門「りり、好き」

『うん、ありがとう』

正門「ずっと傍におってほしいし、大切にさせてほしい。これからいろんなことあると思うけど、俺はりりとの関係が守れるように、一緒におれるように努力するから。ここにおってな？」

正門の背中に腕をまわして、ぎゅっと抱きしめ返すとさらに距離が縮まった気がする。
正門の匂いがして安心した。
さっきまでそわそわしていたのが、少し落ち着いていることに気がついて好きだな、と思う。

『私たぶん正門が思ってるより正門のこと好きだから、離れたりなんてできないと思う。何回勝手に失恋したかわかんないもん』

正門「勝手に失恋ってなによ」

『もういいの。正門、伝えてくれてありがとう』

正門「１回目、やりなおそ」

そう言うと、正門の腕の力が緩む。
少し距離をとって視線が合うと、あまり見たことのない熱っぽい瞳が私を捉えていた。
自分の心臓の音がうるさい。

正門の手がステージで私の頬に触れた時よりも、しっかりと頬に触れた。
反射的になのか意識的になのかわからないまま瞼を落とす。

正門とした２度目のキスは涙の味はしなかった。