9:???側視点 ページ9
「女が欲しい…?」
美しい男は困惑していた
光の当たり具合によっては白と見間違えてしまいそうな細い金髪
血の色を思い出させる底なし沼のような、それでいて何処か無邪気さを含んだ透明感のある赤眼
セッティングされた背景と家具に囲まれて、高級そうな一人がけのソファにしばらく座っていたら、通りすがった人には完璧に仕上がった人形のように見えてしまうだろう。
それほどまでに神様が丁寧に配置した顔のパーツを持った美しい男が発したその声は、少々顔とは釣り合わないバリトンボイス
それすらも、ギャップ効果があって男は無意識に己の魅力の一つにしてしまうのだ
信頼のできる存在の力を借りながらも今いる地位を掴んだ男は、一つの気まぐれで弱小国であれば寝てても簡単に操れる、と誇張表現でない事が言える程の経済力とカリスマ性を持ち合わせており、実際
公開はされていないが、ある一国を真の意味で支配しているのはこの男──グルッペン・フューラー
であるのだ
そんなグルッペンが今、困惑している
何故ならば、目の前の使用人でもあり仲間でもあり家族のような間柄である昔馴染みの男が
赤いマフラーを揺らしてノックもなしに入ってきたかと思えばこんなことを言い出した
「この前何か不満はないか、と何となく思って聞いたとき”男ばっかでつまんない””女が足りなさすぎる””ロリが欲しい””視界に華が一つもねぇ”ってな声が数名、特に今日に渡って文句を言ってきたのが2名おる」
「…………」
絶対その2名あいつらだな、とグルッペンの脳内には青色スーツ男と藤色のヘルメット男がいる
「女、かぁ」
苦笑いをしているグルッペンにトントンと呼ばれた赤いマフラーの男は「で、どうすんの?」と言った
「そいつらの要望をもし蹴った場合、どうなると思うか?」
「不満が溜まって半殺しにでもされんじゃね?もしくは、毎時間のように部屋に突撃とか」
グルッペンは眉を思いっきり寄せて、美しいその顔面を崩す
更にはぐでっと机に突っ伏して、とても嫌そうだ
「生きてる女に興味ねぇし、予算削りたくねー…」
「何の予算ですかねぇ?」
「世界最古の戦車の………アッ」
ハッと気がついてトントンの方を見れば腰から下げている鞘から剣を引き抜いているところだった
「こっちとしては、二人がやかましくなる前にどうにかして貰いたいんやけど」
「な、なんとか善処しよう」
どうしたもんだと考えて、彼の目にとまったのは
オークションへの招待状だった
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作者名:ねっこんこん x他1人 | 作者ホームページ:http://nekokobuta
作成日時:2024年3月20日 2時